室井俊二 株式会社板室観光ホテル大黒屋 代表取締役社長~創業450年・老舗旅館の「アートスタイル経営」

会社

温泉旅館の空間戦略

1551年創業という長い歴史を誇る温泉旅館を経営する株式会社板室観光ホテル大黒屋。栃木が誇る老舗旅館です。源泉かけ流しの温泉や趣向を凝らした客室、その時一番新鮮な素材を目利きし贅を凝らした料理。そしてスタッフたちの笑顔とおもてなしの心。
温泉旅館として必要な要素はすべて兼ね備えた株式会社板室観光ホテル大黒屋ですが、更にもう1点、他の旅館にはない特別な試みを行っています。社長である室井俊二の持論に「経営者は空間戦略が長けていなくてはならない」という言葉があります。宿屋としての空間戦略とは一体どういうことでしょうか。
良い宿も良い温泉も日本中にたくさんあります。そんな中で生き残っていくためには、ひとつでも良い。自社が突出しているものを作り出す必要があるとして「アート」という空間戦術を取り入れたのです。温泉とアートの融合。体感する安らぎと、目で楽しむ安らぎ。それが温泉宿として提供する「保養」と「芸術」の両立となるのです。

室井俊二の「アートスタイル経営」

株式会社板室観光ホテル大黒屋は2005年「アートスタイル経営」という名称を企業メセナ協議会より送られました。「保養とアートの宿」という他にはない経営スタイルが認められたのです。
室井俊二が考える経営の理念、そのキーワードは「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」──この4つが絡み合い旅館の質を高めお客様の満足感を生み出し、そして利益を生み出すことです。もちろん、生じた利益は従業員たちと地域に還元されなくてはなりません。
その4つのキーワードに「アート」を結びつけたのが室井俊二の抱く経営ビジョンの特徴的な部分でした。ロビーや廊下、客室に絵画を飾るだけではありません。様々な意味を持つアートを効果的に配置することで芸術に興味のあるお客様やスタッフが集い、芸術の中心地となって感動を生むような「場」を設けることが目的なのです。

芸術の持つ力

宿を訪れたお客様に、温泉文化とアートの融合という新しい価値観を提供する株式会社板室観光ホテル大黒屋。社長の室井俊二は1946年、栃木県に生まれました。地元栃木を愛し、人が集まる場所にしたいという思いから温泉旅館のアート化を思いついたそうです。芸術には厳しくもあたたかな目を持ち、休日はもっぱら美術館や画廊廻りをして過ごすことが多いそうです。これまでにない斬新なアイデアを形にした若い芸術家の作品を見付けると喜びが沸いてくるとか。芸術を愛し、芸術家を育てる手伝いをし、芸術の力でお客様に癒しと活力を提供する──老舗温泉旅館社長のかつてない試みは注目の的となっています。

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