仏壇の役割
生前の思い出を語り合ったり、楽しかった時に思いを馳せたり……。亡き人を偲ぶ時間は、生きる者にとっても心安らぐひとときでもあります。
香川県で1998年4月に創業した株式会社ジェイ・アスラックは、仏壇の製造と卸売りを行う会社です。現代では仏壇を置いてある家は少なくなっているといいますが、今の住環境に合わせた仏壇を模索して製造し、また古くなった仏壇の修繕事業も手掛けています。
社長である鈴木文美男は、亡き人の思い出と家族の未来を大切にしながらも、現代のニーズを追及した仏壇に息吹を吹き込みます。
「手を合わせるカタチ」
マンションやアパート住まい、一人暮らし、核家族──現代人の生活スタイルや住宅環境は多岐に渡っています。狭い家の中ではスペースが限られ、昔ながらの大きな仏壇を置けないという悩みもあります。
そこで株式会社ジェイ・アスラックは、決められた形式の仏壇を作って売るのではなく、お客様のお住まいや予算をヒアリングするところから仕事を始めるのだそうです。仏壇への希望や、カラー、サイズを詳細まで打ち合わせしたったひとつの仏壇を心を込めて製造するのです。
「手を合わせるカタチ」は人さまざま。昔からの形や慣習などにとらわれることなく、ご先祖様に向き合える仏壇は若い人からも受け入れられやすく、好評を博しています。
また、引っ越し先に大きな仏壇が入らないという声もあります。現代風の家に古い仏壇が似合わないという悩みも然り。現代風の小さな仏壇に買い替えたいけれど、先祖代々受け継いできたものを処分するのも気が引けるという声も多いといいます。そんなご家庭のためには古い仏壇の材料を利用して、希望のサイズに造り直すということも行っています。一から製造するのではなく、世界に一つしかない仏壇を解体して造り直すので、とても神経を使う作業だといいます。確かな技術で仏壇に向き合ってきた株式会社ジェイ・アスラックならではの仕事だというのは言うまでもありません。
人の想いを大切に
世界にたったひとつの仏壇を作り続ける株式会社ジェイ・アスラック。社長の鈴木文美男は1975年生まれです。仏壇を持たない家も多い中、この業界で会社を維持し続けていくことは大変だといいます。しかし鈴木文美男は若い発想力でどんどん仕事の幅を増やしていきました。
少子高齢化・核家族という日本社会ですが、今や空前のペットブームに沸き立っています。ペットは大切な家族の一員です。そこにチャンスを見出した鈴木文美男は、ペット霊園に版図を広げ、ワンちゃん・ネコちゃんの供養品やメモリアルグッズ製作に乗り出しました。長年仏壇を手掛け、悲しみに寄り添ってきた株式会社ジェイ・アスラックならではの取り組みと言えるでしょう。
今は亡き大切な存在を思いながら手を合わせ、心の中で語り掛ける──仏壇はそういう存在です。これからも株式会社ジェイ・アスラックと鈴木文美男は、人の想いを大切に真摯に仏壇に向かい合います。
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