千葉県で飲食店を経営する株式会社Greenの代表取締役社長水谷将典さん。飲食店経営をするにあたり、色々と気を付けているのが従業員、アルバイトへの対応です。教育をしなければならず、時に叱ることも必要だけれど、叱り方が下手だと単なるパワハラになってしまう、水谷将典さんはそんな懸念を抱いています。とはいえ、最近の若者は怒られ慣れていないと若者に非をなすりつけるのは違うとも考えているのです。
叱ると怒るの違いは考えの有無の違い
水谷将典さんもまた若い時は飲食店でアルバイトをしていました。飲食店も様々で、居酒屋でバイトをしたこともあれば、中華料理屋、フランス料理屋など様々な場所で行っています。学生の時から飲食店で起業しようと考えており、いわば自己研鑽の狙いもあったのですが、たくさん怒られてきたと水谷将典さんは語ります。
その中で水谷将典さんが思ったのは、スムーズに事が運ばない時に人は怒るのであって、人格すべてを憎いと思いながら怒ることはほとんどないことです。期待値が常に低ければどのようにクビにしようかと考え、より下手なことは言わなくなります。叱る場合はポテンシャルが高いのに故意的にパフォーマンスを低下させていると感じた時に叱られるイメージを水谷将典さんは持ちます。
そのため、自分では過度に怒ったつもりはなくても、怒られた側は過度に怒られたと感じます。これを言えば相手は過度に怒るだろうという考えが怒る側にない、考えも及ばない、これが大きなギャップを生み出すのです。
良かれと思ってのほとんどは自己満足
経営者としては、相手のポテンシャルを高く評価し、お前ならもっとできる!という意味合いで叱り飛ばすことが多いです。もちろん自分が操作しやすいように手なずけるために上下関係をはっきりさせたくてやる人もいますが、水谷将典さんはそれを嫌います。良かれと思ってという態度こそが、自己満足にすぎないからです。良かれと思ってという考えになっている時点で、相手の事をリスペクトしていないと水谷将典さんは考えています。
水谷将典さんにとって従業員は対等に近いパートナーであり、一緒にお店を切り盛りする戦友のようなものなのです。当然相手に対するリスペクトを持っており、業務上指導を余儀なくされる場合はマンツーマンで行うようにしているとのこと。水谷将典さんの知り合いの飲食店経営者には、あえてみんなに見える形で説教を行うことで周囲の気を引き締めるやり方をとる人がいるそうですが、うまくいかない時はとことんうまくいかなくなるらしく、その手法を水谷将典さんは嫌います。
バイトで大事なスキルは部活で備わる
水谷将典さんはバイトの面接の際、学生に対してこれまでの部活動の経験をより詳しく聞き出そうとします。なぜなら、学生時代の部活動は基本的に理不尽なことが多く、非効率的な怒られ方、叱られ方を経験する人がほとんどだからです。良かれと思ってという指導も当然受けており、怒られるうちが華という感覚もわかっています。そのため、ついつい言い過ぎたとしてもフォローさえしっかりすれば戦力として働いてくれる可能性が高いからです。
水谷将典さんがそれを実感したのは、近年スポーツとしての認知もされてきたボートレースとの出会いです。水谷将典さんの知り合いにボートレーサーがおり、色々な話を聞く中で、近年スポーツ競技で素晴らしい実績を残した人たちがこぞってボートレーサーを目指すという話を知ります。ボートレースの場合、1年間の訓練を余儀なくされますが、はっきり言ってその中身は過酷。自由もなく時間に厳しく、まるで軍隊のようなもの。それを乗り越えられるのはスポーツ競技で第一線でやっていた人たちが多いとのこと。
期待して怒っているというのを理解できる人は総じて体育会系であり、それを乗り越えたことへの賞賛も体育会系の人は積極的にしてくれます。
文科系の人でも働いてもらえる飲食店
体育会系なしには飲食店は回せない、文科系の人は居酒屋などでは働けない、そんな文化にはしたくないと水谷将典さんは考えます。1回怒っただけでシュンとしてしまう人に、根気強く向き合うためにはどうすればいいのか、そのためには経営者がもっと頭を使わないといけないのです。それができた時、株式会社Greenは飛躍的に成長するだろうと水谷将典さんは夢を描きます。
飲食店は人手不足になりやすく、離職率も高いのが実情。結局指導方法に問題があるからそうなるのです。色々な事情はありますが、経営者が努力しないといけない話でしょう。
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