江見佳朗 有限会社丸古食品 代表~創業90年の決断・小売業界への挑戦

会社

麺一筋90年

麺一筋90年。兵庫県尼崎市に本社を構える有限会社丸古食品は、ゆで麺、生麺、冷凍麺の製造と販売を手掛ける会社です。1928年の創業以来、地元に根差して活動してきた企業であり地域の食堂や会社の社員食堂、また学校や病院の給食で広く利用されているのが特徴です。
モチモチした食感と豊かな風味が「スーパーで売ってる麺とは違う」と評判を呼び、食のデパートと呼ばれる阪神百貨店へと出店を果たしました。以来、業務用とは別に、一般小売販売のための商品開発にも力を注いでいます。

こうして麺ができあがる

麺の原料は厳選した小麦粉、水、塩が使われます。そして麺を打つ技術は創業より培われたものです。現在、有限会社丸古食品では機械を使用して製造していますが、材料の配合ひとつとっても、熟練の技術と勘が欠かせません。その日の気温や湿度によって、空気中に含まれる水分の量が微妙に異なるからです。雨が降ったりして湿度の高い日にいつもと同じ分量の水を混ぜると、仕上がった麺は水分の含有量が多すぎて柔らかいものになってしまいます。日々の大気の状態を考慮して原料を配合し、機械にセットする必要があります。有限会社丸古食品のホームページではこれらの製造過程について、画像入りで詳しく説明されています。これは食品を作る会社として、安心安全な環境で製造しているという自負の表れと言えるでしょう。
こうして作られた麺にはゆで麺、生麺、冷凍麺といった様々な形態があります。美味しさと賞味期限、そして便利さを考えて色々な選択肢を用意するのも小売販売に向けての工夫のひとつです。どの麺も打ちたてのコシ、味、香りをそのまま食卓に届けたいという思いで作られた製品なのです。

目指せ創業100年

本格麺を食卓に届ける有限会社丸古食品のモットーは「健康、便利、美味」。業務用麺の製造から小売業にも進出を図りましたが、どちらも根本にある「食べ物を作る思い」は同じです。近年の小売業界で幅を利かせている大量生産・薄利多売という競争路線からは一歩身を引いて、たとえコストは嵩んだとしてもお客様の食卓に良品をお届けしようという方針を立てました。社長の江見佳朗は「めざせ創業100年」を合言葉に一般小売販売先を拡充し、商品を増やしていくことを目標に掲げています。
そんな江見佳朗の座右の銘は「善敗由己」。成功も失敗も自分の責任という言葉だそうです。会社の成功も失敗もすべて社長である自分の責任であり、中小企業にとって社長の存在は大きいのだという自戒の念。社員たちの生活と、消費者の食卓を背負う──その言葉からは社長の覚悟が込められています。

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