野々内達雄 近江屋ロープ株式会社 代表取締役社長~200年の伝統と社会問題に向き合う社長

会社

綱屋の「のれん」を守れ

千年の都・京都には数多くの老舗が軒を連ねています。今回ご紹介する近江屋ロープ株式会社もそのひとつ。1804から始まる文化年間に初代の近江屋藤助が京にのぼり、麻や綱、糸などの小売店「つな屋」を開業したのが始まりです。
開国を経て明治、大正、そして戦争の時代を何とか潜り抜け「のれん」を守ってきました。1962年に「近江屋ロープ株式会社」として株式会社に改組して現在に至ります。京都市下京区という京の中心に店舗を構え、獣害対策用の防護ネットの開発・販売、ワイヤロープ
や繊維ロープの販売、農林機械の販売を行う会社として全国に知られています。業務を広げても、初代から受け継がれた「綱」屋の魂はしっかりと受け継いで、お客様、そして、取引業者への感謝の心を忘れずに社会貢献を果たすべく企業活動を行っています。

「イノシッシ」シリーズ

「つな屋」として始まった近江屋ロープ株式会社。現代の「綱」は糸や縄だけではありません。様々な素材を駆使して「綱」を作り上げなければなりません。ワイヤロープやフック、搬送用台車や各種ラック、脚立や防草シートなど商品は多岐に渡り、近江屋ロープ株式会社の商品を求める人の業態も様々です。
とりわけ重宝されている商品のひとつに獣害防止ネットがあります。その名も「イノシッシ」シリーズ。近年、山を切り開いての宅地建設が盛んになり、人間と山の動物たちの境界が曖昧になってきたため、野生の生き物が畑や庭を荒らす獣害という問題が取り上げられるようになりました。「イノシッシ」はその名の通り、イノシシや鹿などの野生動物の進入防止柵です。猿の進入を防止する柵「ビリビリイノシッシ」も好評をきたしています。
どれももちろん野生動物に危害を与えるものではありません。これらは近江屋ロープ株式会社のオリジナル商品で、地元の方が簡単に設置することができるように組み立て方法も工夫されています。そのため、農家のみならず全国の市町村役場や林野事業で広く利用されているのです。

200年の伝統の重荷にいかに向き合うか

近江屋ロープ株式会社社長である野々内達雄。200年以上続く会社を守るためには様々な苦労や葛藤があったといいます。そんな中、自分に言い聞かせている言葉は「経営者である前に人間。人間のための経営を目指すこと」。1人の人間として一生懸命お客様やスタッフのために仕事をしようと決意した瞬間、200年の伝統という重荷がスッと軽くなったとか。
そんな社長の姿勢もあって、社員たちは立場や年齢を越えて仲が良く、各課の垣根を越えて一丸となって取り組むという風潮が社内に出来上がっているといいます。
社長の今後の目標は、現代社会が直面している環境問題をテーマに、安全、省エネ、緑化に貢献できる商品開発を行うことです。200年の歴史を背負う野々内達雄社長は、今後の200年も見据えているのです。

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