町の洋菓子屋さん
ケーキやクッキー、プリンやゼリー……色とりどりのスイーツは、目にも華やかで誰もが喜ぶおやつです。手土産や集会など様々なシーンに利用される機会も多いのではないでしょうか。
埼玉県笠間市でパティスリーショップの経営を手掛ける有限会社グリュイエール。石造りを思わせる瀟洒な外観がお洒落な街の洋菓子屋さんは1985年に開店しました。テイクアウトだけでなく、イートインもしているため創業以来、店内はいつも賑わいに満ちています。社長である根本高行自ら考案する洋菓子は地元の人のみならず、圏外からも買いに訪れる人も多いとか。
人気の高まりを受けて、「グリュイエール 笠間工芸の丘店」「楽農工房「洋風食事処ものみ茶屋」という2号店3号店を開くに至りました。また、東京で開催された「チョコレート博覧会」「プリン博覧会」に出品するなど、店舗内にとどまらず精力的に活動を続けています。
特別なケーキ
社長の根本高行は今は季節ごとにラインナップを変えるレシピの考案と、各店舗で調理を担当しているパティシエたちへの技術指導を主に担当しています。他にも中川学園調理技術専門学校の非常勤講師や、茨城県洋菓子協会会長など、お菓子を世に広めるために活躍の場をどんどん広げているところです。
いちごショートやタルトフレーズ、焼き菓子なども豊富にそろえるグリュイエール。とりわけ人気の「特別なケーキ」をひとつご紹介しましょう。
野球好きのおじいちゃんの誕生日にバットとグローブの絵が描かれたケーキを、子供のお誕生日に好きなキャラクターがついたものなど、お誕生日会や成人式、結婚記念日など、お客様ひとりひとりの思い出に沿った特別な「アニバーサリーケーキ」の制作を請け負っているのです。完成したケーキを見たお客様の口元にこぼれる笑顔。これが何よりの報酬だと根本高行と制作に携わったパティシエたちは目を細めます。
根本高行の3つの願い
根本高行とグリュイエールの願いは3つあると言います。
1つ目のキーワードは「おいしい」。手をかけて作り上げた作品であるスイーツ。お客様に召し上がっていただいた時に、たった一言「おいしい」との言葉をもらえたら作り手としてこの上ない満足感を得られ、何物にも替えがたい仕事への情熱が沸いて来るのです。
2つ目のキーワードは「笠間」。地元である笠間は歴史と文化の町です。近所にある笠間稲荷神社は日本三大稲荷のひとつで親鸞聖人ゆかりの地でもあります。ケーキを食べに来てもらうかたわら、多くの人に笠間の町を散策してもらい、その素晴らしさを再発見してもらえたらという願いがあるそうです。
最後の3つ目は「生きていく術」。パティシエの仕事は簡単なものではありません。重い袋を担がなくてはならないし、生クリームを作るのだって腕の力が必要です。それでもスイーツの世界で生きていこうと決意した弟子たちに、根本高行は己の持つ技術=生きていく術を叩きこみます。まるで我が子に教えるような厳しくもあたたかな指導で、多くの弟子たちを育て上げるのです。
その3つの願いの先に、グリュイエールの未来があるのです。
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