徳重克彦 有限会社徳重製菓とらや 社長~ビジネスチャンスをつかんで伝統のお菓子を売り出せ

会社

鹿児島の名産品

九州は鹿児島。歴史があり、人気の観光地でもあります。さつま揚げやラーメン、黒豚や地鶏など美味しい名物もたくさん思い浮かびますね。
1884年鹿児島県霧島市で創業した有限会社徳重製菓とらやは、鹿児島名物のかるかんなどの和菓子、洋菓子などの製造販売をする会社です。100年以上の伝統と、現代のニーズを取り入れた多数の商品を取りそろえ、県内に8店舗を展開しています。
土産物やお茶菓子に最適な商品を多く作っていますが、お菓子作りのノウハウも生かしてパンの製造も始めました。造られたパンは霧島市内の小中学校と提携して、学校給食として1日に13000食提供しています。

オリジナルの「かるかん」を作れ

有限会社徳重製菓とらやの主力商品である「かるかん」とは一体どのようなお菓子なのでしょうか。
九州地方特産である棒状の羊羹の形をした和菓子のことで、漢字では「軽羹」と書きます。軽い歯触りともちもちした食感。中には餡子がぎっしり入っており、食べ応えのあるお菓子です。17世紀末から18世紀初頭にかけて薩摩藩(現在の鹿児島県)で誕生しました。藩主の食事にも出されたという伝統の逸品でもあります。

現代では全国の人がかるかんを楽しみ、これを取り扱うお店や会社も九州のみならず全国に多数広がっていきました。かるかん生みの地の鹿児島の会社としてのプライドで、有限会社徳重製菓とらやは他社とは違う独自の商品を生み出しました。
霧島の天然名水「関平鉱泉」と地元特産品である自然薯を使って蒸した生地は、従来のかるかん饅頭にはない、しっとりとした独特の食感。その生地に「関平鉱泉」を使って炊いた餡をたっぷり包んだ「創作生かるかん」です。霧かん(漉し餡)の白、櫻かん(桜餡)の桜色、橘かん(蜜柑餡)の黄色と目にも鮮やかな3種類を詰合せたオリジナル商品です。これはヒットを飛ばし、新感覚のかるかんとしてメディアを賑わせました。
もちろんオーソドックスな「かるかん饅頭」も人気です。また「春季限定のサクラサクかるかん」「夏季限定塩豆かるかん」「冬季限定の黒糖かるかん」など、季節に特化したかるかんはお持たせにもぴったり。年中楽しめるかるかんとして、観光客や地元の人たちに人気を博しています。

大きなビジネスチャンス

このように魅力的なお菓子である「かるかん」ですが、どこか地味という印象を抱く人もいるようです。そう考える人にかるかんの良さを知ってもらうために、徳重克彦社長は知恵を絞ります。
大きなチャンスは思わぬ形でやってきました。九州新幹線・鹿児島ルートの全線開業。2011年3月12日のことです。観光客が増えることはビジネスチャンスにもつながります。また、仕事で訪れるビジネスマンの数にも注目です。箱入りの土産物だけでなく、新幹線の中で手軽に食べられるものとして「みどりかおるちゃるかん」の発売にこぎつけました。「かるかん」と「霧島茶」を組み合わせたものなのですが、忙しい出張の合間にほんの少しでも旅情を味わいたいビジネスマンに受け売り上げを伸ばしました。
徳重克彦社長は、お菓子とは人と人のコミュニケーションをはかるもの。そして人の心を癒すものと考え、今後も新しくてホッとするお菓子作りを目指しているのです。

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