佐藤勘三郎 株式会社ホテル佐勘 代表取締役社長~社長の心遣いとは・千年つづく伝統の宿を運営するために

会社

平安時代から続く温泉旅館

東北は仙台の奥座敷に、奥州三名湯のひとつと名高い秋保温泉があります。名取川の渓谷沿いにある温泉街で、東北屈指の名湯との誉れ高い地です。温泉自体は飛鳥時代からあったとも言われ、歴史と文化を感じられる場所でもあります。サラリとしてクセのなく柔らかなお湯。立ち並ぶ旅館や土産物店の風情。仙台市中心部から車で30分ほどの利便性もあり、毎年多くの観光客が訪れます。
その秋保温泉の中にたたずむホテル佐勘。創業は平安期にも遡ります。1957年に株式会社ホテル佐勘として設立しました。総客室数173室を誇る規模であり、千年の伝統と、現代のニーズを融合させた趣き深い宿として有名です。

現代人にとっての温泉とは

ホテル佐勘の「伝統の湯・名取の御湯」は、かつては伊達家の歴代当主も湯浴みしたという由緒ある温泉です。社長の佐藤勘三郎は34代目。歴史ある宿を継いだ社長は、その伝統を大切にしつつも、現代のお客様の好みを重視するというスタイルを貫いています。以前は湯治での長期滞在が多かった温泉ですが、忙しい現代人はまとまった時間をとることができません。そこで日帰りプランを充実させることによって、ニーズをつかむことに成功したのです。
それだけにとどまらず社長は多方面に手腕を発揮しました。姉妹宿の松島松庵にはレストランを併設するなど事業を拡げていきます。また、伊達家より下賜された主屋をギャラリーとして整備し、古くから旅館に伝わる品を展示するという企画も好評だとか。さらに、2016年には「G7財務大臣会合・G7中央銀行総裁会合」の開催場所として利用されました。個人から団体のお客様、更には国際会議の場としても幅広く利用できます。宿泊機能の提供だけにとどまらず、お客様ひとりひとりの安らぎと活躍の場として旅館が存在することが社長の望みなのです。

社長の気遣い

佐藤勘三郎社長が目標とする宿の在り方は「心の原点に触れるおもてなしの心」。時代に、そして人々に求められる旅館の姿を模索し、サービスとは何かということを追及し続けていくことです。働くスタッフには、伝統ある旅館スタッフとしての気遣いと温もりをもってお客様に相対することを求めます。そのため、彼らがリフレッシュできるように誕生日休暇を設けているとか。ほとんど年中無休で稼働している旅館業界の特徴として、スタッフたちの休日を同じ日に取ることはできません。そのため、社員旅行や運動会などまとまった社内行事を企画することは難しいのですが、その分彼らの満足感を高めるために作られた社長肝いりの制度です。
スタッフ一丸となって、平安時代から続く伝統ある旅館を支えるホテル佐勘。その影には社長の細やかな気遣いがあったのです。

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