湯檜曽温泉にたたずむ旅館
都会の喧騒に疲れたとき、ふと田舎の温泉で羽根をのばしたいと思うことはないでしょうか。鎌倉時代に落人が発見したという伝説をもつ湯檜曽温泉は、群馬県利根郡みなかみ町にある温泉郷のひとつです。湯檜曽川沿いの豊かな自然と立地の便から、都心からの観光客に愛されている温泉町でもあります。気候の良い春や秋、夏休みシーズンだけでなく、水上奥利根・大穴・天神平など有名スキー場も近くにあり、冬場も人気のエリアでもあります。
そんな群馬県利根郡みなかみ町に1973年開業したのが、株式会社なかや旅館。料理と温泉が評判の名旅館を運営する会社です。社長の名は阿部剛。旅館の仕事は、お客様に「おひねり」を頂戴するようなものだと言います。その真意とは一体、どのようなものなのでしょうか。
自慢の温泉と料理
なかや旅館の自慢は、何と言っても湯檜曽温泉の源泉を使用した温泉です。2つの露天風呂と3種の内湯を備え、万全の態勢でお客様を迎え入れます。泉質は弱アルカリ性単純温泉。効能は神経痛、リウマチ、胃腸病など多くの身体の不調に効果があるとして、湯治客にも人気だとか。豊富に湧き出る湯量と、肌に優しい泉質のため、赤ちゃんでも安心して入浴できるということで家族連れからも好評だそうです。また、特筆すべきなのは木と石で造られた趣き深い露天風呂には屋根がないことです。そのため温泉に入りながら、昼は山々の雄大な姿を、そして夜には夜空に輝く満天の星を堪能できます。
さらに、温泉旅館としてもうひとつ外せないのは料理です。なかや旅館は、和食中心のほかの温泉旅館とはひと味違うこだわりを持っているといいます。それは和食、フレンチ、中華と何でもアリのラインナップ。何度も足を運んでくださるお客様が、毎回新鮮な驚きをもって箸を伸ばすことができるようにとの思いからです。大切にしていることはたったの2つだけ──「美味しいこと」と「手づくりの味」。和食にこだわらない自由闊達なメニューだからこそ、外国の方や、年配の方、あるいは若い方も、誰もが笑顔になる味を生み出すことができるのです。
「おひねり」を頂くように
なかや旅館を営む阿部剛社長。温泉旅館の仕事は、お客様から「おひねり」を頂くような感覚だと言います。音楽や劇などで、感動したお客様が演者にあげるあの「おひねり」のことです。客室の調度がその季節に応じているか、また掃除は行き届いているか、布団はフカフカで気持ち良いかなど、お客様に快適に過ごしていただくためのポイントはいくつもあります。それらひとつひとつを満点にクリアして、お客様から感謝の気持ちという「おひねり」を頂くことが、毎日の旅館業の中での張り合いに繋がるのだと社長は考えているのです。料理、あるいはお風呂についても同様です。小さなことを積み重ねて、そしてお客様にまた来たい旅館だと思っていただけることが、社長にとって最高の「おひねり」なのです。
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