山口陵子 株式会社ウイル 代表取締役~「溶射」技術で地球を守ろう

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溶射とは

溶射という技術についてご存じでしょうか? 溶射とは、金属などの各種素材の表面を熱することで皮膜を形成するという表面処理法の一種です。表面を改質することで、設備や部品に防食・防サビ、耐摩耗性などの効果が生まれ、耐久性が上がるという技術です。
株式会社ウイルは、岡山県岡山市で溶射の専門会社として1988年創業しました。金属溶射はもちろん、サーメットやセラミックなどの素材に対しても溶射可能であり、建物や部品の強化を手広く請け負っています。工場での作業が主ですが、現地に専門機材を持ち込んでの作業という出張工事も行っており、岡山の業者に重宝されているといいます。
やりがいがある半面、熱くてキツイ仕事というイメージもつきまとう溶射の会社である株式会社ウイルを率いるのは山口陵子。地域ばかりでなく、地球の未来を見据えた女性社長です。

溶射技術の歴史と存在意義

溶射の技術が発明されたのはスイスの地、1909年のことでした。その後、1919年に日本にもたらされ、製鉄や化学薬品製造プラント、半導体や航空宇宙分野など最先端の分野で活かされています。一見、地味な「溶射」という技術ですが、最新の科学を支える縁の下の力持ちでもあるのです。
また、溶射を行う目的は表面の美しさを保つことと同時に、製品や設備、建物の延命を図るという利点があるからです。株式会社ウイルも部品のサビや腐食に悩んでいるという声から生まれ、防サビ・防食分野についての溶射の実績を積み上げてきました。設備や製品を溶射で表面処理を行うと、長持ちするだけでなく、部品の再生も行いやすいというメリットがあります。限られた資源を大切にしようという思いが、この技術を生み出したのだといっても過言ではありません。資源の少ない日本では尚更、溶射技術の存在意義は大きいと言えるでしょう。

山口陵子の狙い

株式会社ウイルの社長である山口陵子は1973年、岡山県瀬戸内市に生まれました。溶射という未だ一般的とは言い難い技術を駆使する株式会社ウイルを地域で育てていくためにはどうすれば良いかということを常に考えているといいます。
より多くの人に溶射技術を知ってもらえれば、地域の人たちの役に立てる筈。そこで「メンテナンスフリー」という言葉をうたって会社の技術を広めることにしました。「ロングライフ」や「リユース」など、現代日本語ともよべる言葉を使うと多くの人にとっても「溶射」について、そして溶射の利点について理解がしやすいというのが狙いです。
溶射技術を広めるということは、会社の為だけではなく、地域のため、ゆくゆくは地球の資源のためにも不可欠なこと。岡山市の小さな会社から、山口陵子は世界を見つめているのです。

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